本・壮心の夢『抜擢』『天神の裔』『老将』・火坂雅志
天下を統一した秀吉の許に、それぞれ胸に野望を抱いた者たちが群れ集まってきた。摂津の主となり、信長の部将として活躍した荒木村重の晩年の姿を描く「うずくまる」や、琉球征服を夢み、秀吉から琉球守の名を賜わった亀井茲矩の見果てぬ夢を綴った「おらんだ櫓」など、十四人の男たちを活写した歴史短篇集。
著者お得意の隙間産業である。
あまり書かれることが無い武将に光を当てる。
蒲生氏郷や石田三成は入れなくても良いと思うが・・・・・
ただ選んだ中でこれはと思う人はいる。
文庫本で500ページを超える。
木村吉清、神子田正治、前野長康、今井宗久、神屋宗湛、菅道長、和久宗是が印象深かった・・・・・
木村吉清『抜擢』
元明智光秀の家臣。
東北で30万石を貰う。
それまでは5千石と言う。
理由が明かされるが面白い。
そんなものなのかと思ってしまう!
菅道長『天神の裔』
長曽我部水軍として秀吉に対する。
菅原道真の末と言う。
敵役に野崎内蔵助がいる。
秀吉に敗れて、秀吉の島津攻めに秀吉の水軍として参加する。
菅水軍は小田原攻め、朝鮮の役で活躍する。
関ヶ原では西軍に付く。受けた恩は返さなければならない。
筋を通そうとする。
野崎内蔵助は東軍に付き、藤堂高虎に仕える。
そして菅道長も藤堂高虎に仕える。
大阪の陣がある。
堀の埋め立てで家康は約定を違える。最初から守るつもりはない。
高虎が埋める様に命令するが、菅兵右衛門道長はこれに反対する。
約定は守らなければならない。
高虎と揉めて、腹を切る。
しかし一人だけでも家康に異を唱えたことで歴史の片隅に名が残った!
和久宗是『老将』
三好家、足利家、織田家に仕え秀吉の祐筆となる。
小田原の攻めで、伊達政宗に早く参陣するように促したと言う。
それ以降も何かと政宗をかばったようだ。
隠居してから伊達政宗に仕える。その時で80歳を超えている。
この小説はそれ以降を記述している。
少年が政宗に和久宗是の世話をするように命じられる。
最初はイヤイヤ仕えるが、人柄を知るにつれて慕うようになる!
大阪の陣が起こる。
和久宗是は大阪城に入城する決意である。
少年、小十郎も和久宗是について行くと言う。
希望はかない一緒に大阪城に入城する。
そこで元服する。
烏帽子親は真田幸村!
他の武将がわざわざ和久宗是に挨拶する。
小十郎はここで和久宗是と共に戦い死のうと思うが、和久宗是に夏の陣の前に追い返される。
そうして大坂夏の陣を伊達の兵として参加する。
真っ白な浄衣に一の谷の兜ばかりの宗是を見る。
「宗是さまッ、宗是さまーッ」と叫び続ける!
凄く爽やかな感じがする短編である。
こう言うあまり知られていない武将を短編で取り上げてくれるのは嬉しい!
これからも期待しています!
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